*言花* 「邂逅」 忍者ブログ
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ついにというか、なんというか。
王国心の妄想小説を書いてしまいました。
チビ空と兎の対話です。

読んでやんよという素敵な方は、注意事項をしっっかり読んでから、先に進んでください。

注意
1.BbSの超ネタバレあり。エピソードを最後まで見てからご覧ください。
2.キャラのイメージをちょっとでも崩したくない方は、お引き取り下さい。
(具体的に言うと、兎の性格がだいぶソフトになってます)
3.少々の矛盾には目をつぶってください。

OK?

本当にOK?


で、では続きを開いてどうぞ。


『邂逅』

「それで君が悲しくなくなるなら」
《ありがとう》

ぼんやりと。
いまや小さな光の欠片となった片割れが、幼い少年の元に還っていくのを眺めていた。

己の相似形のような容姿。
されど対称的な、柔らかな笑顔と明るい瞳をもつ子供。
そうか、こいつが……。
時々、ヴェントゥスの心を感じるそのさらに遠くで、他の心を感じることがあった。
小さく、幼い。けれども確かな光を放つ心だ。
それがこの子供なのか。
こいつがかつて、ヴェントゥスの欠けた心を埋め、そして俺にこの姿を与えたのか。
他人の心を補うことができるなんて、こうして目の前にするまで半信半疑だったが、二つの心は互いを損なうことなく、確かに一つになっていた。
どうして俺たちの融合が不完全だったのか、わかった気がする。
けれど、あんな風に一つになるなんて、闇の俺には無理だった。

ヴェン……お前はまた眠るんだな。
このあたたかい場所で、全ての痛みから守られて。
羨ましいと思った。
どうしてお前にだけ、帰る場所がいくつもある?
そして悲しかった。
どうしてそっちにいくんだ。お前の半身はここにいるのに。

あんなにも深かった憎しみは、今はなく。
ただ、悲しくて、悲しくて……。
ああ……でも、もうどうでもいいか。
頼みの綱のΧブレードが砕け、弱々しい闇の塊となったこの姿では、アンヴァースも生まれてこない。
どうせこの意識も間もなく消えるんだ。
たった独り、虚無に還る……。
きっともう……目覚めることは……な……い。

「――待って!」
《……?》

幼い声に、最後の意識がつなぎ止められた。
気が付けば、すぐそばに青い瞳がある。
「消えたらだめだよ」
《……?……何故だ?》
耳を疑った。
あいつと心を分かち合った子供。
あいつと同じように、俺を拒絶するものだとばかり思っていたのに。
「だって、いなくなったら悲しいよ」
《……俺が闇の存在でもか?》
意味がわからなかったのか、その問いには答えず、そっと小さな手を差し伸べてくる。
そうして無邪気に笑い、言った。
「夜のしずくみたい」
《……は?》
「俺、夜って好きだよ!ちょっとこわいときもあるけど、夜しかみえないものもあるし。お月さまとかー、お星さまとか!」
《…………》
考えもしなかった言葉に、唖然として言葉が出なかった。
何を言ってるんだこいつは。的外れもいいところだ。
けれども……何故だろう。
ずっと満たされることのなかった胸の奥に、ほんの微かに灯がともったような気がする。
拒絶でも、怒りでもなく、今までに向けられたことがない、あたたかな感情。
そんな感情があることを、知ってはいた。
だけどそれは全て、ヴェントゥスへと向けられたものを、遠くから感じ取っていたにすぎない。
その生ぬるいあたたかさが不快で、けれども羨ましくてしかたがなかった。
どうしてこいつは会ったばかりの、しかもこんな姿の俺にぬくもりをくれる?
「君も、悲しいの?」
黙ったせいか、今度は心配げな顔で覗きこまれた。
《……そうだな》
「いっしょに来る?」
《一緒に……?》
俺もこのあたたかな場所で、眠りにつくことができたなら。
たとえそのまま二度と目覚めないとしても、独りで消えてしまうよりずっと良い。
けれど、
《いや……それは無理だ》
「なんで?」
まるで初めから一つの心だったかのように、こいつらの心は重なっている。
今ここで俺が、闇が入り込めば、どうなるのかわからない。
もし、俺とヴェンが反発しあったとしたら?こいつの心は傷つかないだろうか。
『純粋なる闇』としては、その方が"らしい"のだろうが……今の俺はそれを望んでいない。
まったく。ほんの少し優しさをもらったとはいえ、こんな子供に肩入れするなんて。弱っている証拠だな。
身体があれば苦笑しているところだ。
《……今、お前の中で呑気に眠っているやつ。俺とそいつは、共にいない方がいい》
「えっ。ケンカしたの?俺、リクとケンカすることあるけど、ちゃんと仲直りするよ?」
そんな甘い話ではないが。
《仲直り、か。今はできない相談だな》
「ええーっ」
不満そうに口をとがらせる。
「……じゃあ今度あったときは、ちゃんと仲直りしてね?」
《今度なんて……ああ、わかったよ》
不毛な言い争いになるのも面倒で、おざなりに了解をする。
それでもそいつは満足そうに笑い、けれど次の瞬間には、また不安そうな顔をする。
よくそんなに表情が変えられるな。
「でも……ひとりでいたら、消えちゃわない?」
《消えないさ》
「つらくない?」
《辛くても、この痛みは捨てられない》
ああ、そうだ。わかりきったことじゃないか。
憎しみも、哀しみも、怒りも、絶望も。全てが俺の心だ。
《それを捨てれば、俺は俺でなくなる》
それに。
夜のしずくのようだと言ってくれた。
ヴェントゥスの闇。切り捨てられた虚ろなこの身に、何気ないその一言は、俺が俺である証のように思えた。
闇として生まれたなら、そう生きていってやるさ。
《――だから、消えない》
「?」
ふわりと、小さな手から離れた。
「行っちゃうの?また会える?」
《さあな》
「じゃあ俺、お星さまにお願いする!また会えますようにって」
《なんだそれは》
「えー知らないの?お星さまにお願いごとすると、かなうんだよ!」
《……つくづく、変な奴だな。そういえばお前、名前は?》
「ソラ」
ソラ……空か。
刹那、抜けるような青空のビジョンが広がった。
どこまでも、青く。すべてを包み込む広い空。
ずっと、ヴェントゥスの心を勝手に埋めたやつのことを、不愉快に思っていた。
だけどこいつは、それが俺だったとしてもきっと同じように手を差し伸べたのだろう。
《じゃあなソラ……そしてヴェン》
見上げて手を振る姿が徐々に小さくなる。
なあヴェン。分かれる前の俺たちは、こんな感じだったのかな。
それなら……存外、悪くない。


そうして俺の意識は、ここに――キーブレード墓場に戻ってきた。

戦いの傷が癒えるのにはまだ時間がかかるが、小さな光のかけらが、心の奥に灯っているのを感じる。
光があれば闇も共に在る。
この光が、俺の闇を照らし、俺を闇として存在させてくれるだろう。


― end ―


ここから、ごまかしまみれのあとがき。

あああっ。恥ずかしい///
やってしまった感満載ですが、書かずにはいられなかった!
BbS小説を読むと(3巻しか読んでないけど)、誰か兎を救ってやってくれ!って気持ちでいっぱいになりまして。
で、それができるのは空かなぁと。
敵でさえ、困ってたら見捨てられない空ですので。
最終的には弁になんとかしてもらいたいんですけどね、今無理そうなので(^^;

BbSシークレットやリコデを見た感じ、空の中に兎の影はないし……。
じゃあ対話だけして、鍵剣墓場にもどっていったのかなと妄想したりしました。
で、墓場にいる兎思念はやけにパワーアップしてるし、だけどその後の世界にアンヴァースは存在しないし。
ああ、これは闇の存在として開き直りつつ、性格がソフトになったってことかと!(ォィ
(って説明が必要な文章しか書けない自分、爆発しろ)

ちなみに、もちろんというかなんというか、空はこの時のことを覚えていません(笑
もし将来兎と出会ったら
兎「お前、あの時の!?へぇ、鍵剣を使えるようになったのか。面白い、試してやるよ(ウキウキ)」
空「な、なんだお前!?」
ってな感じでバトルすればいいと思います!

そんな妄想の産物でした。
長くつたない話を最後まで読んで下さって、ありがとうございました!!

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